イソップ童話から学ぶアドラー心理学
イソップ童話に『ウサギと亀』というお話があります。日本人ならおそらく誰もがご存知のこのお話。
足の速いうさぎと、足の遅い亀がかけっこで勝負をすることになりました。かけっこが始まると、うさぎは予想通り亀と差をつけてどんどん先に進んでしまいます。後ろを進んでいる亀の姿は見えなくなってしまい、うさぎは油断をして途中で居眠りをしてしまいます。その間に、着実にゆっくりペースで進んでいた亀がうさぎに追いつき、先にゴールに到着するというストーリー。
この童話の教訓として有名なのは
- うさぎさんのように自信過剰になって油断をしてしまうと、物事を逃してしまう事がある
- カメさんのように進むのが遅くても、着実にコツコツ努力をし続けると報われる
という事でしょう。しかし、実は『うさぎと亀』にはもう一つ教訓があるってご存知でしょうか?それは、何かをする時には周りの人よりも目的地に意識を向けましょうという教訓です。
実は競争をしていた時、ウサギは競争相手の亀だけを見ていたんです。つまり、ウサギにとっての目的は競争相手のカメに勝つという事だったのかもしれません。
一方カメは何を見ていたかというと目的地でした。つまりゴールに辿りつくという事だけを見て、地道に歩みを進めていたのかもしれません。
本来の目的を忘れて、周りの人や周りの人の目を気にしてしまう。そんな事が日常生活でもあったりしませんか?
そんな時は、『うさぎと亀』のうさぎになっていないか、一度セルフチェックしてみても良いかもしれません。
目的をはっきりさせる
そしてウサギと亀のこれらの行動の違いから学べる教訓は、子育てにおいても活かせるのではないかと思います。子育てをしていると、例えば周りにいる同じ月齢や同じ学年のお友達と我が子を比べてしまったり、ネットやSNSの情報に振り回されて育児に自信が持てなくなる、そんな事もあるかもしれません。
書店の育児本コーナーに行けば「怒らないで育てる」という本の横に「子どもの叱り方」という本が置いてあったりします。これだけ情報の多い世の中だからこそ、子育てにおいても目的や指針をはっきりさせるという事はやはり大事なんですね。
目的や指針をはっきり持たずに育児をしていると例えば
- 子どもの不適切な行動に対して感情的に反応してしまう
- その場限りのごまかしや感情に流された対応をしてしまう
- 子どもの言いなりになって振り回されてしまう
という事も起こりがちです。
皆さんは子育てに対する目的や指針ははっきりと持たれていますか?
アドラー流子育ての目的とは
アドラー心理学に基づく愛と勇気づけの親子関係セミナーSMILEでも先ず始めに、自分の子育ての目標や指針をはっきり明確にする、という事をおこなっています。
毎日当たり前のように私たちは子育てをしていますが、子育ての目的ってそもそも何でしょうか。
アドラー流の子育てでは、次の二つの事を子育ての目的として大事にしています。それは
- 自立した子に育てる
- 周りと調和をしながら生きていける子に育てる
ということです。なぜ、この二つが大事なのでしょう。
「自立した子に育てる」というのは既に普段から意識されている方が多いかもしれませんね。
「お子さんが大人になった時(例えば10年後、20年後)、どんな風に育っていたら良いと思いますか?」という質問をすると
- 「自分でやりがいのある仕事を見つけて働いていて欲しい」
- 「幸せな家庭を築いていて欲しい」
- 「自分でお金を稼いで自分で食べられるようになっていて欲しい」
- 「自分の好きな道を見つけて、まっすぐに進んでいって欲しい」
などそれぞれ様々なご回答を下さる事が多いですが、皆さん共通しているのはやはり自立した人間に育って欲しいという事でしょう。
そう。私たちは、子どもを自立させるために子育てをしているんですね。
しかしながら、人は自立をするだけでは生きてはいけません。何故なら、私たちは一人では生きていけないからです。人は、集団社会の中で周りの人たちと協力をし合いながら生きています。
つまり、子育てにおいても目指すところは子どもの自立だけでなく、同じくらいに周りの人たちと協力し合い、調和し合えるという部分も育てていかなくてはならないんです。
どうしたら自立や調和は育つのか
自立や調和は、子育ての目標と考えても良いかもしれません。
しかしながら、人として自立をして周りの人たちとも調和をしながら生きていくためには、子どもの心の中に育まなくてはならないものがあります。
それは愛と勇気づけの親子関係セミナーSMILEにも出てくる幸せの三原則と言われる次の3つです。
- 自己受容
- 他者信頼
- 貢献感
一つずつみていきましょう。
自己受容
自分には能力があると感じることが出来て、自分のことを信じられること。自分のプラスの要素もマイナスの要素も受け入れ、ありのままの自分を好きになれることです。
自己肯定感とも近い言葉かもしれませんが、自己肯定感が自分の事をプラスに肯定する力だとしたら、自己受容は自分にはプラスの要素だけでなくマイナスの要素があることも知っていて、全部ひっくるめてありのままの自分を受け止める力、と言っても良いかもしれません。
他者信頼
周りにいる人はみんな仲間だと思える力です。これは、集団社会の中で生きていくためには欠かせない要素になります。
「周りにいる人はみんな敵だ!お友達はみんなライバルだ!」そんな風に思ってしまうと、とても生きづらいし生活していて苦しいですよね。
人はみんな、いくつかの共同体に所属しています。子どもなら家庭や幼稚園、保育園、学校、地域、お友達の集まりなどが所属している共同体かもしれません。そんな自分が所属している共同体において、ここにいる人達はみんな仲間で、自分が困っている時には協力をしてくれる。自分も誰かが困っている時には協力することが出来る。そんな風に他者を信頼することが出来ると、調和をし合いながら生きるという子育ての目標にも近づけます。
そして子どもが他者信頼を育むためには、小さい時はやはり先ずは家庭の中が信頼に満ち溢れた場であることが重要です。
例えば、お母さん、お父さん、兄弟はみんな仲間だと思える事。そのための関わりを大人はやはり意識する必要がありますね(^^
貢献感
最後に貢献感です。こちらも子どもが幸せに生きていくために欠かせない要素です。
自分には能力があり、周りの人はみんな仲間で、ここ(お子さんが所属している、家庭や幼稚園や保育園、地域、学校など)は自分の居場所なんだ!と感じる事ができると、この共同体の中で自分の能力をつかってみんなに貢献したい!役に立つことが嬉しい!と感じる事が出来るようになります。
これが貢献感です。
自己受容から始まり→他者信頼→貢献感へと心の成長のステップをしていくと、幸せに生きていくための準備が整えられます。そして子育ての目標でもあった自立をしながら社会と調和をしながら生きていくという事が出来るようになっていきます。
幸せの三原則でもある自己受容、他者信頼、貢献感。これらを子どもの中に育むためには親が意識しておきたい関わりがあります。それが勇気づけ!
勇気づけの関わりはアドラー心理学の育児講座で学ぶことが出来ます。ぜひ学んでいませんか?
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