発達に特性のある子の保育|安心感から始まる発達支援の実施【鹿児島保育士研修レポート】

理解と安心感から始まる発達支援

先日、鹿児島の保育園さんにてオンラインで定期研修を行いました。今回のテーマは「発達に特性のある子の保育」。振り返ってみると、この研修の根底には、どの場面にも安心感というキーワードが静かに流れていたように思います。


(午睡の時間を使い、同じ内容の研修を2日間行いました。)

 

困っている子をどう受けとめるか

発達障害のお子さんや、発達に特性のあるお子さんたちは、見た目では分かりにくい困りごとを抱えていることがあります。言葉にできない不安や不快、感覚の過敏さ、思考のかたよりなど。けれど、それは問題ではなく、助けを求めるサインです。

今回ご一緒した鹿児島の園の先生方は、子どもたち一人ひとりの姿を丁寧に見つめながら、より安心できる関わりを探しておられました。先生方のまなざしから、「子どもたちの安心を大切にしたい」という想いが伝わってきました。

子どもの行動には必ず理由があります。子どもの行動を「何とかしなきゃ」と考えるよりもまずは、「この行動の意味はなんだろう」「何に困っているのかな」「どうすれば安心できるかな」と問いかける視点を持つこと。それが、子どもを理解し支援していく第一歩になります。

背景を見つめる保育へ

例えば「座れない」「じっとしていられない」「衝動性が高い」「切り替えができない」など、大人から見ると一見「困った」と感じてしまうような子どもの行動。どんな行動にも、必ずその子なりの理由があります。発達の特性や感覚の感じ方、記憶の働き、思考のくせ、コミュニケーションの難しさ、そしてそのときの心の状態など。表に見える行動は、その内側の世界の表れにすぎません。行動をコントロールするよりも、なぜその行動になっているのかを理解しようとする姿勢。その積み重ねが、子どもの安心につながっていきます。

どの子も安心して過ごせるようにするための工夫として、「安心できる人」「安心できる場所」「安心できるアイテム」という三つの視点を共有しました。子どもにとっての心の支えとなる人や空間、好きなおもちゃやお気に入りの持ち物があるだけで、気持ちは安定しやすくなります。安心できる環境の中でこそ、子どもは自分から「やってみよう」と思えるのです。

私自身の経験から感じる安心感という土台

私自身も、発達に特性のある子の子育てを通して、安心感こそがすべての土台であることを実感しています。息子も年少の頃に場面緘黙の傾向があり、園では口パクでしか話せない時期がありました。どうして声が出ないのか親としてとても心配でしたが、先生方が焦らず優しく見守ってくださったことで、少しずつ安心を取り戻していきました。

話せるようになったのではなく、安心できる環境の中で、心から安心しきったからこそ「話してみよう」と思えたのだと思います。この経験からも、子どもの成長の土台はやはり安心感だと改めて感じています。

現場への願い

発達障害の診断名がつかなくても、困っている子はたくさんいます。大切なのは診断名よりも、目の前の子どもが今、何に困っているのか。そして、どうすれば安心して過ごせるのか。その問いを、保育者一人ひとりが持ち続けること。それが、子どもたちにとっての最大の支援だと信じています。

子どもたちの安心を真ん中に置いた保育。その中から、きっとたくさんの勇気と成長が生まれていくはずです。これからも現場の先生方と共に学び合いながら、安心感を土台にした保育を広げていきたいと思います。

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