アドラー心理学を保育に活かす|「建設的な視点」を学ぶ保育士研修【鹿児島県】

昨年度から継続して研修を実施させていただいている鹿児島県の保育園さん。今年度も引き続き、職員の皆さんと学びを深めています。

1年目の学びを土台にしながら、2年目は【子どもの生きる力を育む保育】をテーマに、2か月に1回のペースで研修を実施しています。アドラー心理学の考え方を自分自身、子どもとの関わり、そして職員同士の関わりへと広げながら、日々の保育の中での実践につなげています。

鹿児島県保育園で園内研修

鹿児島県保育園で園内研修の様子

(毎回午睡の時間を使い、2日間に分けて実施させていただいています)

今回ご紹介するのは、7月に実施した今年度第2回目の研修です。

アドラー心理学が大切にする「建設的な視点」

今回の研修のテーマは「前に進むための建設的な視点を持つ」でした。

アドラー心理学の保育士研修|建設的な視点とは

保育をしていると、思うようにいかないことや、すぐには変えられないことに出会うことがあります。例えば時間や人手が足りないなど、今ある環境の中では難しいと感じることもあるでしょう。

そんな時、どうしても「今は難しい」「これは変えられない」と感じることがあります。それは決して保育に限ったことではなく、仕事でも子育てでもプライベートでも、日々の生活の中で誰にでもあることだと思います。

もちろん、無理に前向きに考える必要はありません。今ある現実や状況をきちんと受け止めたうえで、「じゃあ、ここから何ができる?」と少し視点を変えてみる。今回の研修では、そんな考え方を皆さんと一緒に深めていきました。

アドラー心理学では「何が良い・悪い」「誰が正しい・間違っている」とジャッジをするのではなく、「何が建設的か、非建設的か」という視点から考えていきます。

そこには、自分(I)だけの視点ではなく、自分も相手も含めた「私たち(We)」という考え方があります。相手や子どもたち、クラス、園全体へと少し視野を広げ、共同体みんなにとって、より良い方向につながるのは何かを考えていきます。

たとえば何か問題が起きたとき、「誰が悪かったのか」に目を向け続けるよりも、「じゃあ今度からどうしたらいいかな?」と未来や解決策に目を向けてみる。不平や不満が出てきたときにも、この状況の中で自分にできることは何だろうと考えてみる。

過去に起きたことを振り返ることも必要ですが、そこで終わらず「これからどうする?」と未来に目を向けていく。これも、建設的な視点の一つである「未来志向」の考え方です。

「与えられたものをどう使うか」

今回の研修では、アドラーの言葉としてこんな言葉もご紹介しました。

「重要なのは何を与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである」

環境や状況、相手の行動、過去に起きた出来事など、自分では変えられないものもあります。

一方で、同じ状況や出来事があったとしても、それをどう捉え、どう意味づけ、そこからどう行動していくかは、自分で決めることができる。アドラー心理学では、この「自己決定性」という考え方を大切にしています。

自分では変えられないものがある中でも、今あるものをどう使うのか、自分はここからどう行動するのか。そこは自分で選んでいくことができます。

アドラー心理学の創始者アルフレッド・アドラーの写真

職員一人ひとりが「建設的な視点」を持つと、何が変わる?

建設的な視点を持つことで、次のようなメリットがあります。

① 問題解決に結びつきやすい
「誰が悪かった?」「どっちが正しい?」とジャッジをするのではなく、「これからどうしたらいいかな?」と未来や解決策に目を向けることで、問題解決につながりやすくなります。

② 新しいアイデアが生まれる
「じゃあどうする?」「今から何ができるかな?」「どんな方法があるかな?」と、未来志向で考えていくことで、様々なアイデアが生まれやすくなります。

③ 行動に結びつきやすくなる
「じゃあ、まずはこれをやってみよう」と、具体的な一歩が見えてくることで、実際の行動にもつながりやすくなります。

④ 協力的なチームになる
「自分には何ができるかな?」「みんなでできることは何だろう?」と考え、それぞれが意見やアイデアを持ち寄ることで、協力して前に進みやすくなります。

⑤ 自己成長につながる

「自分はどうしたい?」「自分にできることは何だろう?」と自分で考え、選択し、行動する。その経験の積み重ねが、一人ひとりの主体性や成長につながっていきます。

前向きに建設的な思考をしている女性のイメージ

YES・BUTのメカニズム

今回の研修では、「YES・BUTのメカニズム」について、実際にワークをしながら体験していただきました。

何かをやってみたいと思ったとき、ふと出てくる「でも……」という言葉。

「やってみたい。でも、時間がない」
「やってみたい。でも、難しそう」

「でも……」と考えているうちに、できない理由が次々と浮かんでくることがあります。

そこで今度は、「じゃあ……」と考えてみます。

「じゃあ、今できることは?」
「じゃあ、どんな方法ならできそう?」

「じゃあ……」と問いを変えると、できる方法や新しいアイデアに目が向いていきます。

同じ「やってみたい」という思いから始まっても、そのあとに続く言葉によって、考える方向が変わっていく。

研修では、「でも……」と「じゃあ……」の両方を実際に考えてみることで、その違いを体験していただきました。

アドラー心理学イエスバットのメカニズム

学びを日々の保育の実践へ

今回の研修での気づきが、日々の保育の中での実践につながっていけば嬉しく思います。

園内研修・保育士研修では、アドラー心理学をベースに、保育現場で実践できる内容をワークや事例を交えながらお伝えしています。

「職員一人ひとりが主体的に考え、イキイキと保育をして欲しい。」

そんな園さんはぜひお気軽にご相談ください。

アドラー心理学を取り入れた保育、子どもへの言葉がけや関わり、チームワーク、職員のメンタルヘルスなど、園の課題やご希望に合わせたテーマで研修を実施しています。

「今の園の課題に合った研修を相談したい」
「職員にどんな研修が必要なのか、一緒に考えてほしい」

という段階でも大丈夫です。

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