アドラー心理学で学ぶ保育士の怒りのコントロール

鹿児島県の保育園さんでの年間研修、2年目がはじまりました。
今日は、先日行った今年度第1回目の研修レポートをお届けします。

 

複数の保育園の保育士がオンライン研修に参加している様子

保育園の職員研修でグループワークをしている様子
(午睡の時間を使って、2日間同じ研修を2回実施させていただいています)

今年度のテーマは「子どもの生きる力を育む保育」

昨年度、鹿児島県の保育園さんで、アドラー心理学をベースにした保育士向けの年間研修を担当しました。
月に1回、1年間かけて学びを重ねる中で、子どもの行動の捉え方、子どもへの関わり方、職員同士のコミュニケーションについて、日々の保育を題材にしながら対話を深めてきました。

研修を終えた後、「この学びを1年で終わらせるのはもったいない」 「昨年度の土台をもとに、園全体でさらに深めていきたい」 そんな有り難いお言葉をいただき、今年度も継続して研修を担当させていただくことになりました。

今年度の研修テーマは、「子どもの生きる力を育む保育」です。このテーマは、園さんが日頃から保育の中で大切にされている考え方でもあります。アドラー心理学でも、子どもが自ら考え、選択し、行動できる力を育むことを大切にしています。

子どもが自分らしく【自立】と【共同体感覚】(人とつながる力、協力しながら生きていく力)を育むために、私たち大人にどんな関わりができるか。
昨年度の学びを土台にしながら、今年度は2か月に1回のペースで研修を進めていきます。

子どもの生きる力を育む保育をテーマにしたアドラー心理学の保育士研修資料表紙

今年度は以下の4つの柱を軸に、学びを進めていきます。

・自分を勇気づける
・子どもを勇気づける
・チームで共同体感覚を育てる
・保護者との信頼関係を築く

「勇気づけ」も「共同体感覚」も、アドラー心理学の核心にある考え方です。
知識として学ぶだけでなく、日常の保育の中で実践できる形に落とし込んでいくことを大切にしています。

今年度第1回のテーマ:保育士の怒りのコントロール

最初の研修テーマは、「保育士の怒りのコントロール」
アドラー心理学とアンガーマネジメントの視点から、感情との付き合い方を学びました。

保育の仕事は、子ども・保護者・職員同士と、1日中誰かと関わり続ける仕事です。
嬉しさや喜びの一方で、心配、不安、戸惑い、イライラも、当然のように湧いてきます。

「つい感情的になって、強く言い過ぎてしまった」 「本当は伝えたいことがあるのに、我慢して飲み込んでしまった」

どちらも、保育現場でよく聞く声です。

感情を抑えることが正解なのでも、ぶつけることが正解なのでもない。
では、どう付き合えばいいのか。それが今回の研修の出発点でした。

第1回感情と上手に付き合うをテーマにした保育士研修資料の表紙

アドラー心理学が教える「感情の目的」

「ついカッとなって怒ってしまった」という言い方をすると、まるで私たちが感情に振り回されているように聞こえます。しかしアドラー心理学では、発想が逆です。

人は感情に動かされて行動するのではなく、まず「何かを達成したい」という目的があり、その目的のために感情を使う、という見方をします。

怒りを例にとると

・自分の正しさを相手に認めさせたい
・自分の権利や領域を守りたい
・相手を動かしたい

こうした目的が、怒りという形で表れていることもあります。

「なぜ怒ったのか」だけでなく、「この怒りで何を叶えようとしていたのか」を問うことで、感情の意味が見えてきます。
目的が分かると、「怒る」か「我慢する」かという二択から抜け出せ、選択肢が広がっていきます。

「一次感情」に気づくワーク

cocoroneの研修では、毎回講義だけでなくグループワークを多く取り入れています。今回の研修でも楽しいワークをたくさん取り入れました。
今回特に盛り上がったのが、「感情の目的」と「一次感情」を掘り下げるワークでした。

一次感情とは、怒りの奥にある自分が率直に感じている感情のことです。怒りはいわば「二次感情」と言われ、一次感情が少し屈折した状態で現れている感情。

その下には、不安・悲しい・寂しい・ガッカリなど、自分が素直にそのまま感じている気持ちが隠れていることがほとんどです。

エプロンをつけた保育士が頭を抱えて怒りやストレスを感じている様子

今回はあえて、職場の事例ではなく日常の身近なちょっとしたイライラ体験を題材にしました。
身近なちょっとした出来事を素材にすることで、先生方が安心して自分の気持ちを言葉にできる場になっていました。

オンラインでの研修でしたが、画面越しに先生方が積極的に意見を交わしている様子が伝わってきました。

同じ出来事でも、感じ方や見えているものが人によって異なることに気づく場面もあり、「自分とは違う視点」に触れることが、新たな気づきにつながっていました。

感情のハンドルを、自分で握る

「腹が立つ」「イライラする」などと、感情の渦に巻き込まれてしまいそうな時、ありませんか?

そんな時。「この怒りを使って何を叶えようとしていたのか」を考えてみると、自分が感情に振り回されていたのではなく、その感情を使って何かを実現しようとしていたことに気づくことがあります。

その視点を持つと、「イライラしたから怒る」「カッとなったから強く言ってしまった」ということから少しずつ抜け出せるようになっていきます。

【感情に運転されているのではなく、自分がハンドルを握って運転している】そんな感覚が持てるのです。

自分でハンドルを握って運転している人の様子

自分は何を大切にしたかったのか。本当は相手に何を伝えたかったのか。

それが見えてくると、適切な関わりを選び直すことが出来るようになっていきます。

大人自身の心が安定し、笑顔で子どもたちと向き合えること。それは、自分自身のためだけでなく、子どもたちにとっても大切なことです。

子どもたちは、身近な大人の表情や雰囲気から多くのことを感じ取っています。先生の笑顔は子どもたちの笑顔につながり、先生の安心感は子どもたちの安心感にも繋がっていきます。

だからこそ、自分の感情と丁寧に向き合い、感情のハンドルを握ることは、子どもたちが安心して過ごせる保育環境づくりの第一歩なのかもしれません。

次回の研修では、「前に進むための建設的な視点を持つ」をテーマに、さらに実践的な内容を深めていく予定です。

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  • 園全体での共通理解づくり

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