2歳3歳の保育|切り替えの苦手な子どもの対応でお悩みの保育士さんへ
【切り替えが苦手な子どもへの対応で悩む保育士さんへ】
保育の現場で「切り替えができないお子さん」に直面した経験はありませんか?
「次の活動に移る時間だよ」「早く遊びを終わらせて」と伝えても、思うように動いてくれず、切り替えが出来ない子への対応に追われ、保育が回らなくなったり、クラス全体が混乱してしまうこともありますよね。本記事では、切り替えが苦手な子どもへの対応方法を、具体的な声かけ例や支援策とともにご紹介します。
子どもが切り替えが苦手な理由とは?保育士が知っておきたい発達段階
まず、子どもが「切り替えられない」背景には、いくつかの理由があります。
1. 思考の柔軟性が未熟
子どもは、発達段階において思考の柔軟性が未熟なため、新しい状況に適応するのが難しいことがあります。
たとえば、「遊びを終えて片付ける」という切り替えが求められるとき、「次の行動を考える」能力が十分に育っていないため、抵抗感を示します。
2. 目の前のことに夢中になる特性
子どもは「今やりたいこと」に全力で集中するため、周りの状況が見えなくなることがあります。
この特性は成長の一環であり、決して「わがまま」ではありません。特に好きな遊びに夢中になっているときに「もうおしまい」と言われると、不満や不安を感じやすくなります。
具体的な対応策5選
では、切り替えが苦手な子どもにどう対応すればよいのでしょうか?以下の5つの方法をぜひ試してみてください。
1. 事前の予告で心の準備を作る
何の予告も無しにいきなり「お片付けの時間です!」そんな風に言っても、子どもはおそらくスムーズに切り替えるのは難しいと思います。切り替えをスムーズにするためには、事前の予告は必須です。
「時計の長い針が6になったらお片付けを始めるよ」と知らせるだけで、子どもは心の準備ができます。時計が読めないお子さんには、タイマーや砂時計や絵カードなどを活用すると視覚的にもわかりやすくなります。
2.見通しをもたせるための工夫
見通しが持てないと、子どもは不安を感じやすく切り替えが難しくなります。子どもが一日の流れを理解できるように、スケジュールを視覚化して示すのも効果的です。
例えばイラスト付きのタイムスケジュールをボードに貼り、「次は何をするか」が一目で分かるようにすると、見通しを持ちやすくなります。これにより、切り替えへの不安が軽減し、スムーズな移行が促せます。
3. 共感を忘れない声かけをする
切り替えが苦手な子どもに対しては、「もっと遊びたいんだね」「すごく楽しかったね」と共感する言葉をかけることで、子どもの心を落ち着かせることができます。共感されることで、子どもは自分の気持ちを受け入れられたと感じ、次の行動に移りやすくなります。
4. 切り替えも楽しいと思える声がけの工夫
2歳児、3歳児のクラスの先生ならきっと共感してくださると思いますが、2歳、3歳ぐらいのお子さんはまだ「やらねば」で動けるような年齢ではありません。とにかく自分がやりたい!楽しい!と思ったら動くお年頃です(笑)
なので、切り替えを楽しいものにしてしまうのも一つの方法かもしれません。
次の活動を楽しみだと思わせるためには、言葉がけだけの工夫も効果的です。
例えば、外遊びからまだ部屋に入りたくないお子さんに対して
- 「先生と一緒に新幹線ごっこで帰ろう!”こまちとはやぶさ”どちらにご乗車しますか?」
- 「プリンセスごっこで帰ろう!〇〇ちゃんは何のプリンセス役にする?」
なんて具合に、その子が好きな事やはまっているものを利用しながら、楽しく切り替えさせるのも一つのアイディアですね!
この子は何なら食いついてくれるかな?と日々試行錯誤ですね(笑)
4. 大人が子どもと同じ世界に入ってから切り替えのメッセージを
これは超重要ポイントです!
個人的にも大事にしていることです。
例えば、ブロック遊びでお家を作ることに没頭している子どもに対して、いきなり「お片付けの時間だからもう片づけます!」と言っても、おそらくすんなり聞き入れてはくれないと思います。
そこで、保育者は子どもの見ている同じ世界にいったんお邪魔してみましょう。
「わー!楽しいお家が出来たね!どこから入るの?ここは何のお部屋?」
そんな風に子どもの遊びに興味関心を持ってから
「とっても楽しいお家だけど、あともう少しでお片付けの時間だから、時計の針が〇になったら片づけようね!」
そんな声がけをするとスムーズにいくことがあります。子どもは別世界の人のいう事は聞き入れにくいですが、自分と同じ世界に入ってきてくれた人のいう事は受け入れてくれやすいのです。
切り替えができなくてもいいという視点を持とう
真面目な保育士さんほど、「切り替えさせなきゃ!」「予定通りに!」「何とかみんなと同じように動けるように上手く誘導しなくちゃ!」そんな風に思いがちかもしれません。そんな時は、肩の力を抜いて自分自身にこんな問いかけをしてみてください。
「この切り替え、本当に必要?!」
子どものために必要な切り替えもあるかもしれませんが、よく振り返ってみると大人の都合の切り替えも多いのではないでしょうか?
もしそんな時は
「切り替えられなくても、まぁいいか!」
そんな視点を持ってみませんか?
モンテッソーリ教育の現場にいた時、「今日中にどうしても世界地図を作り終えたいからお弁当は家で食べる!」と言って、自らの個別活動(モンテッソーリではおしごとと呼んでいます)に夢中で、お昼ご飯を食べずに14時に帰宅するようなお子さんは普通にいました。
降園時間を1時間も2時間も過ぎてもまだまだやり続けたくて、残って活動し続けるお子さんたちもたくさんいました。(それに付き合う親御さんもすごいですが!)
子どもは、今やりたい事に没頭しています。「満足するまでやりたい!」その気持ちは次の成長へのステップです。
乳幼児期の子どもたちは自分という「個」を作ることに全力を注ぐ時期。
だからこそ、自分のやりたい事をとことん追求する経験が、自分らしさを育て、成長へとつながっていくのです。
やりたい事を、納得するまでやる。
そして「おしまい」も自分で決める。
これが子どもの成長にどれだけ大切なことか、日々感じています。
大人の私たちが少し余裕を持てる時だけでも、子どもの「やりたい」を大切にする環境を作ってあげられたらいいですよね。
まとめ:一歩ずつ、子どものペースに寄り添おう
「遊びをやめられない」「次の活動に移れない」という悩みは自然なことです。切り替えが苦手な子どもへの対応は、保育士にとって大きな挑戦ですね。しかし、子どもの「やりたい」を尊重し、環境や声かけを工夫することで、少しずつ変化を感じられるようになると思います。
近年、不適切保育が問題になっていますが、無理な切替えの強制が子どものストレスに繋がることを避けるためにも、効果的な支援方法を学ぶことが必要です。
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